早期釈放を実現するためには
大切なご家族、ご友人が逮捕されてしまった場合、1日も早い釈放を実現するためには、状況に応じ以下のような手段が考えられます。
☑︎逮捕直後であれば、勾留を阻止する。
☑︎勾留された後であれば、異議の申立て(準抗告)により勾留決定を覆す、勾留期間の延長の阻止や短縮を目指す。
☑︎起訴された後であれば、速やかな保釈を実現する。
ただし、いずれも、弁護士による活動が基本的に必要となるため、一刻も早く弁護士に相談することをおすすめします。
以下詳しく解説いたします。
逮捕直後であれば、勾留を阻止することで72時間以内の釈放を目指す
逮捕されると48時間以内に検察庁に送検(送致)されます。
検察官は、その後24時間以内に、被疑者について、さらに身柄拘束を続けたまま捜査を行う必要があるかどうかを判断し、その必要があると判断した場合には、裁判官(裁判所)に勾留請求を行います。
裁判官が勾留を許可するとさらに身柄拘束が続くことになります。
しかし、裏を返せば、検察官に勾留請求をさせず、または勾留請求がなされても裁判が勾留を許可しなければ、逮捕から72時間以内で釈放されることになります。
裁判官が勾留を許可するとさらに長期間の身柄拘束が続く
裁判官が勾留を許可すると10日間身柄拘束が続くことになります(その後勾留延長が許可されるとさらに10日間身柄拘束が続く)。
つまり、逮捕後72時間という短時間の間で、さらに10日間身柄拘束されるかどうかが決定されてしまうということです。
なお、裁判官は、検察官から勾留請求を受けた場合、およそ90%以上という非常に高い確率で勾留を許可しているのが実情です。
そのため、逮捕直後に、ご本人の1日も早い釈放を実現するためには、ひとたび勾留が決定した後では遅く、勾留が決定されてしまう前に勾留がされないよう活動する必要があります。
弁護士に依頼できれば、勾留を阻止するために、下記の弁護活動をしてもらうことが可能です。
☑検察官に対し勾留請求をしないよう働きかけを行う
☑検察官の請求自体が止められない場合には、裁判官に検察官の勾留請求を認めないように働きかけを行う
☑裁判官が勾留を許可した場合には、許可の取消しを求め裁判所に異議の申立て(準抗告)を行う
裁判官が勾留を許可した後でないと国選弁護人を選任できない
刑事事件の場合、経済的な事情により国選弁護人への依頼をお考えの方もいらっしゃると思いますが、国選弁護人を選任できるのは勾留が許可された後からになります。
つまり、勾留を阻止するために、検察官に勾留請求をしないよう働きかけを行う、裁判官に検察官の勾留請求を認めないよう働きかけを行うといった活動は、国選弁護人に任せることはできません。
保釈請求は起訴された後でないとできない
なお、早期釈放というと、保釈が頭に浮かぶ方もいらっしゃると思います。しかし、保釈請求ができるのは、検察官によって起訴された後になりますので、まだ起訴がされていないこの段階(被疑者段階)では保釈の請求はできません。
早期釈放を実現するためには、逮捕後72時間以内の弁護活動が重要な理由
先ほど述べましたが、検察官が裁判官に勾留請求をした場合、裁判官は90%以上という高い確率で、検察官の勾留請求を認める判断をします。
しかし、これには1つ大きな理由があります。
それは、裁判官は、基本的に、検察官がまとめた裏付け資料をもとに勾留請求を認めるかどうかを判断するからです。どういうことかというと、検察官から提出された裏付け資料には、被疑者の犯罪事実を裏付ける資料のみがまとめられており、被疑者にとって有利な事情は基本的に書かれていないのです。法律上、裁判官が勾留請求を認めるのは、被疑者に犯罪の嫌疑(罪を犯したと疑うに足りる相当の理由)があることに加え、住所不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれのいずれか1つがある場合に限られます。
例えば、罪状隠滅の恐れについては、例えば万引き(窃盗)の事件で、被疑者の犯行の映像を写した鮮明な防犯カメラ映像がすでに確保されているという場合には、被疑者を釈放しても、被疑者は警察が確保しているその映像を証拠隠滅することは不可能ですから、罪状隠滅の恐れは小さいといえるでしょう。
また、違法薬物使用の事件で、すでに使用していた薬物が押収されており、さらに、薬物検査がなされ薬物反応が出ているような場合も、以後、証拠隠滅することは難しいと言えると思います。
すでに容疑を認め自白している事案であれば、以後、証拠隠滅することに意味はありませんし、その意思はないと言えるでしょう。
また、逃亡の恐れについては、被疑者が持ち家に居住している、結婚して配偶者や子供がいる、配偶者が今回の被疑事実を把握した上で被疑者の身元引受けを誓約している、長年勤めている仕事があり役職的に代わりがきかないなどの事情がある場合には、そうやすやすと全てを捨てて、単身逃亡するとは考え難いでしょう。また、疑われている犯罪事実が軽微であり、およそ実刑判決を受ける可能性が低いとなれば、逃亡の恐れは低いと言えるでしょう。
しかし、このような、被疑者の勾留を認めない方向に働きうる事実は、検察官が裁判官に勾留請求するにあたり提出する裏付け資料の中には通常記載がされていませんので、裁判官も上記のような事実を認識できないまま、勾留請求を認めるかどうかの判断をしています。
逮捕後速やかに弁護人に依頼できた場合
しかし、逮捕後速やかに弁護人に依頼し、その弁護人がこれら被疑者にとって有利な事情を把握して、裁判官への説得を試みた場合、裁判官が弁護人の意見に同調してくれ、勾留請求を認めず、釈放する判断をしてくれる可能性が期待できます。
もちろん、それでも、裁判官が勾留請求を認める判断をすることの方が圧倒的に多いのが実情ですが、もし勾留請求が認められてしまった場合には、異議申立て(準抗告)をして、異なる裁判官に判断のやり直しを求めることも可能です。
厳しい道のりではありますが、準抗告の結果、判断が覆り釈放されるケースも少なくありませんので、早期釈放を実現するためには、最善の弁護活動を行ってもらうことが必要です。
なお、これらの活動は、逮捕されているご本人はできませんし、ご家族や関係者の方であっても、弁護人以外から、裁判官と連絡を取り合うことはできませんので、弁護人に依頼して動いてもらうことが必要となります。
私選弁護人ではなく国選弁護人に、早期の釈放を依頼することができるか
国選弁護人の場合、そもそも国選弁護人が選任されるのは、勾留請求が認められた後になりますので、裁判官に勾留請求を認めないよう働きかけてもらうということは通常できません。
また、逮捕直後の場合、被疑者が希望すれば、当番弁護士を呼ぶことができますが、当番弁護士は黙秘権など権利の説明や、今後の手続き説明、見通しの説明など法的なアドバイスをしてくれますが、基本的にその一回の接見が任務です。
そのため、別途、私選弁護の依頼をしなければ、裁判官に勾留請求を認めないよう働きかけるなどの、引き続きの弁護を依頼することはできません。
早めのご相談を
須藤パートナーズ法律事務所では、これまで逮捕勾留されてしまった事件で、ご本人の1日も早い釈放を実現すべく、弁護活動に取り組んできた結果、
・検察官の勾留請求を阻止
・裁判官に働きかけ、検察官の勾留請求の却下
・勾留請求を認める裁判官の判断に対し、準抗告を行い、判断を覆して勾留請求の却下
を実現してまいりました。
また、勾留延長請求の却下や、期間の短縮を実現し、起訴後、早期の保釈を実現した事案も数多くございます。
刑事事件の対応には時間的限りがあり、最善の弁護活動をスピード感をもって対応することが特に求められます。当事務所では、なりよりも対応のスピードを重視し、可能な限りご依頼を受けたその日のうちにご本人と接見し動き出すことをモットーにしております。
大切なご家族、ご友人が逮捕されてしまった場合には、一刻も早く当事務所にお電話ください。
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