池袋で刑事事件に強い弁護士が、あなたのご家族、ご友人を守ります。不起訴・示談・早期釈放など素早い事件解決を目指します。

「控訴審における保釈(再保釈)」についての弁護士解説

1 保釈中に実刑判決の言渡しを受けるとただちに保釈が取り消される

保釈されている被告人について、第一審で禁錮以上の実刑判決が言い渡された場合、保釈の効力は失われ再び勾留されることになります。
この場合、判決言渡しの場で即座に身柄拘束されることになりますので、もし実刑判決が言い渡される可能性が低くない場合には、あらかじめ身のまわりのものを準備しておいた方がよいかと思います。

2 再保釈について

第一審判決に不服があり控訴する場合には、控訴審の準備に加え、被告人の保釈(再保釈)を実現することが極めて重要です。
しかしながら、再保釈の場合は、第一審における保釈請求とは法律上の要件が異なることに注意が必要です。
また、第一審で保釈が認められていたからといって、当然に再保釈が認められるわけではなく、再保釈が認められる確率は通常の保釈よりも低いといわれています。

第一審における保釈請求では、権利保釈除外事由が存在しないことに加え、裁量保釈についても合わせて主張します。
これに対し、再保釈の場合には権利保釈が存在しないため、裁量保釈のみを主張することになります。

再保釈の要件に関して、これまで明文上の規定はありませんでしたが、令和5年5月10日に刑事訴訟法の改正がなされ、「拘禁刑以上の刑に処する判決の宣告があった後は、第90条の規定による保釈を許すには、同条に規定する不利益その他の不利益の程度が著しく高い場合でなければならない。ただし、保釈された場合に被告人に逃亡するおそれの程度が高くないと認めるに足りる相当な理由があるときは、この限りでない」と明文化されました(刑事訴訟法344条2項)(令和5年6月6日施行)。

そのため、再保釈の場合には、保釈された場合に被告人に逃亡するおそれの程度が高くないと認めるに足りる相当な理由があるといえる場合を除き、保釈を認めず身柄拘束を継続することにより被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益その他の不利益の程度が著しく高いということを裁判官に説得的に主張する必要があります。

なお、仮に再保釈が認められた場合には、第一審で納めていた保釈金額よりも上積みを求められることが通常です。

上記明文化の趣旨として、上記改正に先立ち開かれた法制審議会では、あくまで再保釈の要件を明文上明確にしたのみで、改正前における裁量保釈の範囲を限定しようとする趣旨ではないという答弁がなされていますが、今後の実務上の運用に注意が必要です。

3 早めのご相談を

刑事事件で起訴され保釈中の場合、第一審で禁錮以上の実刑判決が言い渡されると、保釈の効力は失われ、再び勾留されることになります。
そのため、実刑判決を受ける可能性がある場合には、あらかじめ弁護人において再保釈の準備を行い、実刑判決を受けたらすぐに再保釈の請求ができるようにしておくことが必要です。
再保釈の請求をしても、検察官への求意見、そして裁判所の判断という段階を経る必要があり、すぐに審査がなされるわけではないことを見越して準備しておく必要があるでしょう。
刑事事件では最善の弁護活動を行うべきは当然ですが、それに加え対応のスピード感が求められます。
第一審判決の結果によって控訴を考えている場合はもちろん、万が一実刑判決を受けた場合の再保釈の請求について不安を抱えている場合には、一刻も早く当事務所にご相談下さい。