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保釈に関する法改正(制限住居離脱罪や不出頭罪の新設等)について

1 はじめに

 以前は、保釈された被告人が、保釈許可の際に裁判所から指定された住居(いわゆる制限住居)を離れたり、保釈の際に定められたその他の条件に違反したり、公判期日に出頭しないといったことがあった場合には、保釈の取消しや、保釈保証金の没収という不利益が生じることはあっても、それら自体を犯罪として処罰することはできませんでした。
 しかし、公判期日の出頭を確保する等の目的から、上記について犯罪行為として罰則が科されることとなりました。

2 新設された犯罪についての概説

⑴ 制限住居離脱罪について
刑事訴訟法95条の3 
裁判所の許可を受けないで指定された期間を超えて制限された住居を離れてはならない旨の条件を付されて保釈又は勾留の執行停止をされた被告人が、当該条件に係る住居を離れ、当該許可を受けないで、正当な理由がなく、当該期間を超えて当該住居に帰着しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。
② 前項の被告人が、裁判所の許可を受けて同項の住居を離れ、正当な理由がなく、当該住居を離れることができる期間として指定された期間を超えて当該住居に帰着しないときも、同項と同様とする。

⑵ 公判期日不出頭罪について
刑事訴訟法278条の2
保釈又は勾留の執行停止をされた被告人が、召喚を受け正当な理由がなく公判期日に出頭しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。

⑶ 保釈等の取消後における検察官の出頭命令等違反罪について
刑事訴訟法98条の3
保釈又は勾留の執行停止を取り消され、検察官から出頭を命ぜられた被告人が、正当な理由がなく、指定された日時及び場所に出頭しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。

3 最後に

 保釈が認められた場合、身柄拘束から解放されるため、身体的には自由となりますが、保釈中に逃亡等をしてしまうと、上記の通りそれ自体も処罰の対象となり処罰が重くなりますし、逃亡してもそのまま逃げ切れる可能性は極めて低いと言えます。
 保釈許可の際に定められた条件を遵守し、公判期日にきちんと出頭し、罪を償い、1日早く社会復帰されることが望まれます。